日焼けしない政治活動用ポスターの作り方

ポスターにおける赤色や黄色は太陽の紫外線による「退色」が起きやすいため、耐候性インクを使うか、両面PP加工を行うか、もしくはデザイン上の工夫を行うことが望まれます。

なぜポスターは日焼けするのか

ポスターの日焼け問題ですが、夏の時期になるとどうしてもポスターの色が落ちて「日焼け」してしまったポスターを多く見ることがあります。これを印刷の業界では「退色」といいます。ポスターが退色する理由は、太陽光の紫外線によるものが大きいとされています。具体的には、紙のポスターはすべて4色(青赤黄黒)のインクによって印刷されていますが、このうち「赤」と「黄」のインクは、その顔料に使う化合物の結合の力が弱いため、紫外線によって結合が壊されることによって退色するとされています。

「黄色」と「赤色」がダメな場合

上記の理由から「黄色」と「赤色」は、耐候性(天候に対する耐久性を「耐候性」といいます)が比較的弱いと言われています。印刷会社によっては「耐候性インク」 1と呼ばれる特殊なインク を取り扱っていることがあり、これにより紫外線による退色を防ぐことが出来るとされています。一般の通常インクの場合、赤色の退色は酷いときで2〜4週間で始まりますが、耐候性インクを使った場合では、そのような短期間で退色が始まることはありません。退色の目安については、日の長さや日の当たる角度によって異なり、一般的には「夏場」に弱く、「冬場」に強いとされていますが、一般的にポスターに利用される用紙である「ユポ110Kg」に耐候性インクで印刷した場合、夏場計算であれば90日〜150日、冬場計算であれば360日〜450日、春・秋計算であれば180日〜270日ほどの耐候性を持つとされています。例えば10月から貼り付けを開始すれば1年弱持つことになりますが、梅雨時期(6月)に張り出した場合には12月頃まで持つかどうかということになります。なお、耐候性インクは通常インクより発色(特に明度)が弱い(低い)と言われていますので、光沢や発色を強めに出すような印刷をされる場合(特に黄色文字でお名前を印刷される場合など)は、試し刷りをして確認をされることをお薦めします。なお、耐候性インキは、一般的には通常インキより割高となり追加料金となるケースが多いです。 2 参考までに、ネット印刷のグラフィックであれば、ユポ紙ポスター用UV耐候性インキで5,000円〜8,000円程度高くなるようですが、これは良心的な方だと思います。

「黄色」は平気だけれど「赤色」がダメな場合

いわゆるPP加工(ポスターの表面に、耐候性のフィルムを貼る加工)をしたポスターの場合、雨にぬれて壁側(裏面)から水分が浸み込むと、本来であれば蒸発する水分がフィルムで湿気が閉じ込められてしまうために、十分に水分が蒸発しない現象が発生します。水分を含んだポスターに紫外線があたることで、赤色の顔料の分解が急激に進むと言われています。この対策としては、費用がかさみますが「両面PP加工」にするというのが一つ、または水分が裏面から吸収されないような張り方を試みるのが一つです。裏面がベニア板など水分を吸収しやすいものですとどうしても紙が裏面から水分を吸収してしまいますし、両面テープによる辺貼りでもなかなか水分を吸収しないように貼るのは難しいですが、どちらかの対策をするだけでも多少は効果があるでしょう。

背景色を変えることでも、退色の印象は変わる

日本人は黄色人種と言われるように、顔色が「黄色」っぽいことが特徴です。この顔の色を変えることはなかなか無いため、まずは退色によって顔色が「青白く」なってしまうということへの対策を考えなければなりません。この時、顔の裏側の背景色を何色にしているかが問題になります。顔の裏側の背景色をやはり「強い黄色」「強い赤色」にしてしまうと、余計に退色が目立ってしまうために、「青白い顔」と錯覚してしまう度合が強くなります。逆に、顔の裏側の背景色を「強い青色」「強い緑色」にしていると、対比としての赤っぽさ、黄色っぽさを錯覚するために、「青白い顔」と錯覚してしまう度合が低くなります。メインカラーやサブカラーを簡単に変えることは難しいですが、色の度合によって顔をどのように認識するかという点では、お金をかけない方法としてデザインでカバーするという方法があることも覚えておいて下さい。


  1. 厳密には、会社によって「耐候性インク」と「超耐候性インク」との2種類が用意されている場合があります。
  2. 原価ベースで、概ね2割前後の追加料金となるケースが大半です。